矢尾板俊平(中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程)
今回のテーマは、「政策とは何か」という問題について考えることである。
政策とは何か?
一般的に使われる「政策」という言葉には、「政策目標」と「政策手法」という2つの意味が含まれるように感じられる。「政策目標」とは「社会や個人が目指すもの」であると言える。また、「政策手法」とは「その目標や理想に達するための手段や方法」である。
しかしながら、「政策目標」が決まれば、自ずから「政策手法」や「政策目標」を実現ならしめる「政策スキーム」が決まってくるわけではない。それでは、「政策手法」や「政策スキーム」を作るためには、何が必要なのだろうか。
それは、現実社会の状態を把握し、政策目標との差異を見つけるという作業である。さまざまな捉え方はあるが、政策当事者の主観的判断だけではなく、客観的に検証するということが重要であろう。また、その政策に関わるstakeholder(社会全体的な利害関係者)は誰かということを、把握し、そのstakeholderがどのような行動を行うのか、ということを知る必要がある。
つまり、「政策とは何か」という問いに対しては、「(1)社会や個人の目標や理想そのもの、(2)現実社会を知り、目標・理想に結びつけるための手段、方法、スキーム」という仮説的定義を与えられる。
政策を選択すること
政策を実行するための「資源(予算、労力等)」には限りがある。そこで重要となってくることは、政策を選択することである。つまり、「政策の優先順位付け」である。この順位付け・資源のウエート付けの基準は、政策の効果に加えて、多くの賛同者を得たものを選択する可能性や社会の文化や伝統、宗教的・倫理的基準に沿った選択の可能性もあるだろう。さまざまな選択基準が考えられる。そこで、「どのように「選択をするのか」」という問題を考察していく必要性がある。この問題は、「決定」に関わる制度やルールの話として、今後取り上げていきたいと考えている。
誰が為の政策か?
また、社会には、さまざまな価値観や考え方を持つ人々が存在する。多くの場合において、価値観が異なる人々が不満を持っていたり、それを我慢していたりするかもしれない。または、「政策」を行うことによって、利益を得る者もいれば、損害を被る者もいる。そこで、こうした価値が多元化・複雑化された社会もしくはstakeholder間では、さまざまな調整が必要となってくるのである。その方法としては、価値観の異なる人々を説得をしたり、損害の補償などを約束する場合もあるし、住み分けを行う場合もある。価値観の同じ者たちで、新しい社会を作ることもあるかもしれない。どのような方法にしろ、価値観の対立による社会の不安定性を回避するためには、コミュニケーションを行っていくということが重要である。この問題は、政策を実現ならしめるための合意形成の問題として、取り上げていく予定である。
