立石克久(三浦市行政管理部企画課主査)
今春、神奈川県三浦市に自治体シンクタンク「みうら政策研究所」が設置された。同研究所の設置に携わった1人として、その経緯と特徴を明らかにしておきたい。
今日、自治体にシンクタンク機能をもたせる動きが活発化している(表1)。設置背景には、政府が推進している地方分権がある。自治体は、政府主導の画一的な政策に頼ることなく、独自の政策を自己責任において自己決定しなければならない時代に入った。
筆者の所属する三浦市は人口5万人の小規模な市であり、これまで県や国の政策に追従してきた。国、県に頼らない独自の政策を、説明責任を確保しながら立案する「知識とノウハウ」が備わっているとは言えない状況であった。また、地域産業の衰退や、少子高齢化等に対応する適切な「まちづくり政策」を立案するのに十分な体制が整っていない状況でもあった。 三浦市では、これらの課題に対処するため、平成13年度に、これまでの「分野別施策体系」を廃止し、三浦市が克服すべき固有の問題点を明確に示し、その課題に即応する「政策目標別施策体系」を構築した「第4次三浦市総合計画(ニュープラン21)」をスタートさせた。総合計画で定めた目標達成に向けて、民間経営感覚と手法の導入と説明責任の確保を目的とし、大学教授や民間有識者からなる「三浦市政策進行管理委員会」を組織した。その後、実施計画策定の初期段階から助言や指導を受けて「前期5ヵ年実施計画」を策定した。
平成14年度には、横須賀市に設置された「横須賀市都市政策研究所」に自治体枠を越えて、総合計画策定に関った職員を派遣し政策研究のノウハウを得るとともに、両市の政策立案における自治体間コラボレーションを実現してきた。
平成15年度には、それまでの企画・総務部門を統合するとともに、戦略的視点から統括的な舵取りをするとともに、各事業部門を支援することを目的として、「政策経営室」を設置した。このようにして行政内部からの改革の取組をしているところである。
一方、ニュープラン21では、まちづくりを行政だけではなく、市民も重要な担い手として、車の両輪に例えている。行政側の片輪が「政策経営室」であれば、市民側として、もう片方の輪を持たなければいけない。そこで、市民側の輪としての役割を担うべく、平成15年4月に「みうら政策研究所」を設置した経緯がある。
みうら政策研究所の特徴は、次の5点である。@組織体ではなく、常設の会議体として設置されていること。A市の政策立案責任者に直接政策提言すること。B中長期的政策課題だけでなく、短期的政策課題に対し研究員が直接相談に応じるコンサルタント的要素を兼ねていること。C市民から公募により研究員を受入ること(予定)。Dガバナンス時代における市民等への広聴チャネルとしての役割を担っていることである。本稿が、今後、自治体シンクタンクを設置しようとする三浦市のような小規模自治体に資すれば幸いである。 (pim@city.miura.kanagawa.jp)
*2002年、横須賀市都市政策研究所研究員(2002年産業学会東部地方部会にて自治体におけるFM(ファシリティーマネジメント)導入の可能性について発表、鰍ャょうせい「自治体政策形成とその実践」寄稿)。2003年より現職。専門は産業政策、情報政策。
