政党はマニフェストで地方分権を謳え

2003年09月10日 00:00 : Trackback (0) : このエントリーを含むはてなブックマーク

津田 栄(銀座政策研究会代表)


 マニフェストが、今年予想される総選挙で注目されている。すでに自由党との合併に進んでいる民主党は、第一弾の27項目のマニフェストを発表している。これに対抗する自民党でも、小泉首相は総裁選での公約が党の公約であると主張し、郵政三事業民営化、道路関係4公団民営化などを公約に掲げている。

 両政党とも、マニフェストとして、構造改革を主眼においているように見える。しかし、両政党のマニフェストから、それが実行された場合、どんな社会になるのかという将来ヴィジョンが見えて来ない。本来、マニフェストは、目標となる日本の将来ヴィジョンが実現するための国民への政策公約であり、そこに責任を持たせるために、目標、期限、財源、工程などを具体的な数値と方法でわかりやすくしたものである。したがって、マニフェストは、国民が政党を選択する場合に、どのような社会にしたいのかに関する判断基準と実現手段を示すものであるはずである。

 それでは、構造改革の先にある日本の将来ヴィジョンは何かであるが、それは地方分権社会であろう。今、日本の構造問題の根幹には、官僚による行政を中心とする中央集権的国家運営がある。つまり構造改革は、行政改革であり、地方分権のことであるはずである。民主党の基本理念にも、中央集権社会から分権社会への展開が掲げられている。そうであれば、マニフェストは、地方分権を目指す具体的な政策であるべきだ。しかしながら、民主党からは、まして自民党からも、地方分権化を目指す政策マニフェストはいまだ提示されていないのである。

 構造改革の実現を目指すマニフェストの根幹は、国が税金の集中と配分を通じて地方を画一的平均的な基準で管理監督する行政から脱することとなるはずだ。そのためには国の根幹に当たる外交、防衛、裁判、通貨など主要な行政を除いてその他の行政は地方に大胆に移転し、その行政コストに見合う分の税源を移譲することが必要である。それも大幅に移譲すべきである。むしろ、課税自主権を地方に移し、地方が自ら必要な行政サービスを選択し、それを維持するために地方の判断で課税する仕組みにした方が、より行政の効率化につながるはずだ。そして同時に、地方においてもマニフェストによる選挙が定着すれば、地方の住民が、自分たちの地域を自分の判断で変えていけることになり、自立と責任を基本とする住民自治が進展していくことになる。これを期限と工程、そして財源で明示できれば、国民の求めるマニフェストとなるだろう。

 政府は6月に地方改革を論じたが、その後の経緯を見ると、中央集権から脱却できない姿を浮かび上がらせる結果となった。それゆえに、今、国民の多くが期待する構造改革、それを実現するための、行政改革と地方分権をセットにしたマニフェストの提示が、政党には強く望まれる。

(tsudasan@ce.mbn.or.jp)