政府系金融機関の今後

2003年11月10日 00:00 : Trackback (0) : このエントリーを含むはてなブックマーク

祝 朋宏(横浜市立大学商学部経済学科2年)

長年進められてきた行政改革のなかでも、特にその必要性が叫ばれていたのが特殊法人改革であった。特殊法人とは、正しく官営事業であり、政府のスリム化を図っていく上でもその改革は非常に重要である。今般、特殊法人改革は、独立行政法人への移行も含めた廃止の方向で進められている。その中で、昨年、特殊法人の一つである政府系金融機関の改革が経済財政諮問会議で議論されたが、平成16年度までは金融円滑化のため政策金融を活用し、組織形態については平成17年度から行うとして事実上の先送りとなった。このように、廃止の決まった住宅金融公庫を除いては、政府系金融機関の今後の具体像が見えてこない。

確かに、政府系金融機関は企業への資金供給の円滑化に貢献することが必要かもしれない。ならば、政府系金融機関からの貸出が増えてしかるべきであろう。だが、実際には、減少しているのである。中小企業向け融資を担当する国民生活金融公庫で3,657億円、中小企業金融公庫で176億円、大企業向け融資を中心とする日本政策投資銀行で1兆253億円、国際協力銀行に至っては1兆2,643億円も減少している。政策金融の活用が叫ばれながらも、実際には資金供給の円滑化が十分に機能していないことがうかがえる。

貸出額減少の要因についてはさまざまな見方があろう。民間銀行が主張しているように、企業側に資金需要がないからという見方もできる。しかし、一方で貸し渋りに苦しむ企業は多い。貸出減少の背景に、これらの企業に対して資金供給がなされなかったことがあったとすれば、民間銀行と何も変わらないことになる。つまり、政府系金融機関は改革先送りに見合うだけの役割を果たしていないのである。

では、政府系金融機関は今後どのような組織にすることが望ましいのだろうか。一つには、独立行政法人化、民営化(特殊会社化)が考えられる。しかし、これには難問がある。国から補助金を受けていないのなら、国から完全自立しても、経営は維持可能であるが、逆ザヤから補助金を受けている場合、たとえ独立行政法人化したとしても自立した経営はおおよそ期待できず、組織形態以外は現在とさして変わらない状況に陥る可能性が高い。

そこで、補助金を受けている政府系金融機関については、郵政公社との統合が考えられる。郵政公社は、財政投融資を支えていた資金運用部特別会計に全額預託されてきた郵貯資金を今後順次自主運用していくが、民間企業に対する融資部門は保有していない。これまで、郵貯などが集めた資金が、資金運用部を通じて政府系金融機関に供給されていたのを、統合によって一体化しようということである。政府系金融機関の低収益の要因であった調達金利コストが、統合によって低下すれば収益の改善も見込まれる。また、郵貯資金を地域活性化、中小企業向けに活用しようとする一部政党の主張とも整合性が保たれる。

政府系金融機関が今後も現状のまま維持されていくとは考えづらい。独立行政法人では現状とさして変わらない。しかし、郵政公社との統合は、強化された融資部門として、今後の郵貯資金の自主運用の一翼を担うとともに国民のニーズに合致するはずである。そして、このことは、財政投融資改革で残された郵政公社と政府系金融機関の分断構造を見直すことにも繋がるのである。

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