渡瀬裕哉(NPO法人政策過程研究機構理事)
公共サービスの効率性や有効性を問い直す「行政改革」が全国各地で行われている。行政改革の本質は「施策の顧客が納得できる」公共サービスを提供することである。多くの地方自治体ではCS調査などを通して住民のニーズの把握に積極的に努めるようになりつつある。この事自体は評価すべきことであり、今後とも奨励されるべきことである。しかし、この真の行政改革を達成するためには、サービス需要者のニーズを的確に把握するだけでなく、サービスを行うための「パートナー」の変革を行う必要性がある。現状の行政改革は行政機関内部の自己改善運動に終始しており、サービス供給サイド全体の見直しには繋がっていない。今回はこの課題について検証して考えうる対処法を提案したい。
さて、「パートナー」とは一体どのような人々であろうか。ここでは「パートナー」は公共サービスを協働して提供する協力者全てを指す幅広い概念として定義する。たとえば、「パートナー」の例として、自治会、商店街、農協、商工会議所、NPO、介護業者、備品納入者、そして個々の住民などを挙げられる。
個々の公共サービスの業務フローを検証すると、実に多くの「パートナー」と協力関係を築いていることに気がつくはずである。むしろ、「パートナー」と関係せずに実施されている施策の数の方が少ないと思う。近年の財政難の折、これらの「パートナー」と一緒に公共サービスを提供していく機会がますます増えるであろう。
ところが、現在、行政改革の一環として行政評価などが行われる場合、意外なほど「パートナー」の評価が行われることは少ない。それどころか、そもそも一緒に公共サービスを提供するはずの「パートナー」がいつの間にか予算に群がる人々に変質している例も少なくないだろう。たしかに、政治的な配慮や人事面での交流関係から「パートナー」に対して必要以上の配慮をしている現場の辛い事情も理解できる。しかし、行政機関は納税者に対して説明責任を持っており、適切な「パートナー」を選ぶことや「業務改善を迫ることは当然のことである。また、サービス需要者にとっては、これらのサービス供給者全体の改革が行われなければ望んだサービスを手にすることは難しいだろう。納税者やサービス需要者は「パートナー」への過ぎた甘やかしに気がついており、行政への不信を募らせている。
本当の改革のためには「行政改革」という言葉の定義を「パートナー」改革に明確に変える必要性がある。それは自己改善運動よりもはるかに辛い道であり、「パートナー」に訴えかけるだけの尽きることの無い熱意も必要である。
*早稲田大学公共経営科在籍。NPO法人PPI理事・パブリックマネジメントユニットマネージャー。専門は公共経営論。複数の地方自治体に対する行政改革支援業務に携わる。
