◎三藤拓也 後藤大輔 林信喜 小峯浩明 向山直利(九州大学経済学部 細江守紀ゼミ)
1.はじめに
福岡市では、2005年10月より、政令指定都市としては北九州市に次いで二番目に、家庭ごみ処理費用有料化政策を導入した。そこで、福岡市におけるごみ問題に係る現状を明らかにし、ごみ処理費用有料化を実施することが減量化につながるのかどうか、また、つながるならばその効果はどの程度のものなのかを調査した。そして、ごみ処理費用有料化制度の妥当性や、さらなる減量効果の期待できる代替的な政策、さらには制度の硬直性を考慮した補完的な政策について考える。
2.現状
@福岡市のごみ発生量
福岡市のごみ排出量は、平成4年度から平成9年度まで、人口の伸び以上にごみ排出量が増加している。その後は、家庭ごみの分別方法の改正により、一旦減少したが、近年はほぼ横ばいで推移している。家庭ごみの排出量は、平成9年12月から実施した3分別収集(可燃・不燃・ペットボトル)と指定袋制、粗大ごみの有料化、ステーション収集の廃止により、平成10年度には減少した。また平成11年度以降は、平成12年度からの4分別収集の開始、平成13年度からの家電リサイクル法の施行により、人口増にもかかわらず、ほぼ横ばいとなっている。(福岡市環境局)
A福岡市における家庭ごみ有料化政策
福岡市の家庭ごみの有料化は、平成17年10月よりスタートし、指定ごみ袋の価格を、条例に定めるごみ処理手数料の1円/?とした。家庭ごみについては、その処理費用が全て税金で賄われており、ごみの排出量に応じた負担となっていないため、ごみ減量・リサイクルに熱心な人にとって不公平が生じている。そこで、負担の公平性を確保し、循環型社会を構築していく上で、市民一人一人がごみ問題を自らの問題としてとらえ、ごみ排出者とし
て発生抑制(reduce)や循環利用に努めるきっかけをつくるために、家庭ごみの有料化が施行されることとなった。
3.問題点はなにか
@ 福岡市の都市特性
福岡市は工業が少ないが、流通などの商業都市として、九州・山口地区の経済の中心となっている。人口は、約138万人と大規模で、大学生などの若者が多く、転入・転出などの流動人口が多いことも特徴の一つである。また、都市化の波及で、地域によってはコミュニティ意識が希薄となっている。このような状況の福岡市では、多様なライフスタイルや事業活動が営まれており、ごみに関する意識や取り組みも様々であるために、一面的
な政策では、対応に限界がある。よって、福岡市の循環型社会を構築していくためには、福岡市の多面的な特色をふまえた取り組みが必要である。
A 有料化政策の効果の持続性
有料化によるごみ減量効果については多くの報告がある一方で、その減量効果の持続性に
ついては、しばしば疑問が呈されている。有料化政策の効果を持続させるには、他のごみ
減量化政策とのポリシーミックスが求められている。
B 福岡市の家庭ごみの組成
ごみ減量・リサイクルを効率的に進めていくためには、ごみの組成について考察する必要
がある。福岡市のごみ量の8割以上を占める可燃ごみの組成を見ると、家庭ごみ、事業系
ごみともに、紙類が約40%を占めている。そして、紙類・生ごみ類、プラスチックなどの
高分子類の3種類で全体の約7割もの比重である。現在、紙についてはリサイクルのルートが確立されており、資源回収が進められているが、ごみの組成から見ると、まだリサイクルできる紙が排出されていることがわかる。
C リサイクルステーションについて
福岡市としては平成16年より家庭ごみ有料化政策と並ぶごみ問題対策として、校区ごとにリサイクルステーションの設置を進めている。このように、徐々に市民がリサイクルをおこないやすい環境が整備されてはきているが、その存在自体を知らない市民が多いのが現状である。また、このステーション設置は実施途中であり、校区ごとにリサイクルステーションが1箇所しか設置されていない。そのため、遠い場所に住んでいる住民にとっては持込が困難である。
4.政策提言
これまで福岡市のごみ問題の現状とその問題点について述べてきたが、私たちはこれを踏まえ以下のような政策を提言したい。
@リサイクルステーションの認知度を高める
リサイクルステーションの認知度の低さについては、福岡市の環境行政におけるアナウンスが、ごみの分別に関する呼びかけだけに集中しており、リサイクル活動への参加については消極的であることが原因と考えられる。そこで、市民の目に触れやすいバス、電車などの公共交通機関の中や、コンビニエンスストアなどにステーションへの古紙持込を呼びかけるポスターの設置を促進する。また、小中学校でも集団回収の啓発ビデオを流す時間を設けるとともに、実際に生徒が学校単位で回収活動を行うことで、回収率の上昇とともに環境教育につながるであろう。
Aリサイクルステーションの設置数を増やす
現在、リサイクルステーションは校区ごとに1箇所しか設置されていない。そのため、遠い場所に住んでいる住民にとっては持込が困難である。今後は設置場所の数を増やしていくことが課題である。具体的な例として、上記の学校での回収に加えて、大規模な集合住宅や学生マンションなどに設置することが回収率を上げるためには効果的であろう。上記@の施策が広範に実現されるまでの中間的な政策として、遠方のステーションまで古紙やそのほか資源ごみの持込が困難な住民に対する回収サービスを提供する必要があるだろう。たとえば、高齢者の単身・夫婦のみの世帯には、要望に応じて、もしくは定期的に自宅まで回収に行く仕組みを作ることである。電話などで依頼を受けた家庭まで回収に行くアルバイトを市区役所ごとで雇うことや、ごみ回収業者などへのアウトソーシングも考えられるだろう。
5.終わりに
私たちの研究論文はhttp://www.isfj.net/に掲載されているので、興味を持たれた方は是非ご覧ください。
