不二家の復活のために

2007年02月10日 00:00 : Comments (1) : Trackback (0) : このエントリーを含むはてなブックマーク

◎西澤真理子(リテラジャパン 代表取締役)

食品の安全に日本の消費者はとても敏感に反応する。

昨年末に生協が行った消費者調査によると、「どういう食品メーカーの商品を買いたいですか?」という質問には、「問題があったときすぐ公表すること」が7割でトップ。「商品の安全にかかわる事件・事故を起こしていない」が2位の6割であった。この調査結果からは問題が起きたときにすぐ公表するメーカーが支持されることが分かる。

さらに、「加工食品を買うときに重要なことは?」という問いには、「おいしい」(8割)、「製造日が新しい」(5割)、「安い」(4割)、信頼できるメーカーが作っている(4割)であり、おいしく、安く、だけれど信頼できるものを買いたい、という消費者の購買心理がうかがえる。

今回、不二家が起こした消費期限切れの原料を使った洋菓子の販売とその長期にわたる隠蔽は、消費者のこのような期待を大きく裏切った。その結果、事件とは直接関係のない一般菓子の「ミルキー」をはじめ、なじみ深いお菓子が、スーパーやコンビニから次々に撤去される事態にまで発展してしまった。不二家の株価は事件発表後20%近くまで下落し、老舗メーカーは大変な苦境に立たされている。どのように経営を立て直すことができるのか。

不二家とは規模が違うが、食品企業の経営再建の際に参考になるのが雪印の例であろう。大正14年創業、6千人の従業員、乳業トップメーカーであった雪印乳業は、H12年と14年に、集団食中毒事件と牛肉偽装事件を起こした後、1500名の中小企業から再出発した。

食中毒事件では発症者が5千人を超えてからようやく記者会見を開き、会見で社長が間違いを発表したことで、トップの危機管理のなさを露見した。

2年後の牛肉事件後、雪印乳業はついに経営の刷新を決意する。

まず、日本の消費者団体のトップ、元全国消費者団体連絡会事務局長の日和佐信子氏などを社外から取締役に迎え入れ、経営を風通しよいものに刷新した。同時に、全社員が参加して「雪印乳業行動基準」を策定し、信頼されるブランドを再建するための行動規範を発表した。

さらには、消費者の代表との意見交換会、モニター会を定期的に開催し、消費者の声を経営に上げるシステムを強化した。

日和佐氏は、不二家の事件後、朝日新聞の紙面上で、「お客様第一では不十分」と、商品を買ってくれる「お客様」を大事にする必要があるが、企業は買ってくれない人も含めた「消費者」に目を向けた経営をするべき、と、企業の再生の際に必要な視点を提示している(2007年1月13日)。

不二家は財務力が弱く再建は困難と予想されているが、この逆境をどう乗り切るのか。

多くの従業員の将来に経営トップは重大な責任がある。雪印を手本に、子供に夢を与えてきた老舗メーカーが経営を刷新し、復活することを強く望む。

参考文献

・生活データNEWS2006年11月号〜どういう食品メーカーの商品を買いたいか?等の調査結果<http://jccu.coop/info/pressrelease/2006/11/news11.html>
・雪印乳業行動基準<http://www.snowbrand.co.jp/koudo/index.html>